9/3(金)晴れ
[知床岬トレッキング1日目]5:30 テントと荷物、バイク1台はキャンプ場に残し、タンデムで出発。
6:00 羅臼のセイコーマートで食料の買出しをして相泊へ。 6:50 入山届けに記入し、いよいよ岬を目指してトレッキング開始。
最初の方は番屋がたくさんあって整地されているので歩きやすい。 一昨年に来た時は出発が昼近かったこともあってか、あたり一面で昆布干しの作業中で、作業を邪魔しないように避けて歩くのが大変だったが、 今回は時間が早いので大丈夫だった。 7:20 しばらく歩くと、フジテレビの「北の国から2002遺言」で純が住んでいたのとにそっくりな形の番屋があった。 前回帰ってからビデオを見た時なんとなく見覚えのある場所だな~と思っていたのだ。 番屋は綺麗になっているが、地形などから見てロケ地はここに間違いないと確信した。 番屋がなくなると丸くて大きな石がごろごろして歩きにくくなり、イルカの骨や、エゾシカの骨、毛皮、なんだかわからない大きな骨がたくさん落ちている。
途中、海辺で昆布を拾ってしてザックに取り付けた。歩きながら半日も干せば高級食材「羅臼昆布」になるはずだ。 9:20 「観音岩」到着。岬まではほとんど海沿いを歩くことになるが、何カ所か通過できないところがあり、そういうところは山側をまいたり、 海の中を歩かなければならない。
ここ「観音岩」は数十メートルの崖にロープが張ってあり、山側をエスケープする1つ目のポイントだ。 難易度はそれほど高くなく、ロープ無しでもなんとか登れる程度。 崖の上には観音様が立っている。 「観音岩」を下るとすぐに「ウナキベツ川」がある。1つ目の大きな川で、「知床岳」の登山口にもなっており、太陽電池式の無人カウンターが立っていた。
ここを過ぎてしばらく歩くと最初の難所がある。2年前はどうやって進んでいいかわからなくて引き返そうかと本気で悩んだ。 先の岩まで海を挟んで3~4m離れており、助走をつければ飛び越えられそうでもあるのだが重いザックを背負ったままではまず無理。 ここは垂直な壁にへばりついて水平移動。岩の出っ張りを頼りに慎重に進まなければならない。 このポイントを越えてからもしばらくは似たような難所が続く。 波が引いたタイミングを見計らって次々に岩を飛び越えなければならないところもある。 地形が複雑で波の周期が一定しないため、タイミングを計るのが非常に難しい。 少し波を被ったりしたが、何とか水没はしないで通過できた。その後は野営地までこれとった難所はない。
13:00 「タケノコ岩」到着。 「タケノコ岩」の近くの崖を登ると「モイレウシ湾」が見える。 この湾には岬までの間で最大の川「モイレウシ川」が流れ込んでおり、水と食料の調達が容易であること、近くに大きな番屋があることから野営地の候補の一つに考えていたところだ。 14:00 「モイレウシ湾」に到着。まだ時間が早いので少し迷ったが、ここに泊まることにしてテントを設営。
近くでは渡し船で来たらしい釣り人がいる。カラフトマスが釣れているようだ。 試しに防水デジカメを「モイレウシ川」に突っ込んで撮ってみた。 自分も近くでカラフトマスと銀鮭の雌をゲット。
カラフトマスは淡水さえあればどこでも寄ってくるが、鮭は生まれた川にしか帰ってこないという。 実際に鮭が登れるほどの大きな川は岬までの間ではここだけだろう。 筋子をバラしたイクラは2時間ほどタレに漬け込む。本日のメニューはイクラ丼、樺太マス、鮭の輪切りステーキ、 拾った昆布でダシを取って鮭を具にみそ汁、缶ビール1本。 2匹分のイクラは2人では食べきれないほどだった。 まだ時期が早いのでイクラの皮も柔らかく、特に鮭のイクラは極上の味だった。 3:00 ごろテントの外でガサガサという物音で目が覚めた。 ヒグマだとすると身動きの取れないまま襲われては危険と判断し、カウンターアソルト(熊撃退スプレー)を構えてテントから出る。 ヘッドランプで照らしてみるとエゾシカが草を食べに来ていた。 追い払って再び就寝(その間バタ子は熟睡)。
9/4(土)晴れ
[知床岬トレッキング2日目]5:30 撤収し出発。「モイレウシ湾」を越えてしばらくの間は海の中を歩かなければならない。 2年前は干潮にあたったので濡れないで歩くことができたが今回はちょうど満潮に当たる。 ズボンの裾を捲り、靴をサンダルに履き替える。サンダルは波にさらわれない為にかかとがしっかり固定できるものが必要だ。 便所サンダルしか持ってこなかったバタ子は漂着物のロープで縛り付けた。 水深は膝ぐらいまでだが、クレバスのように突然深くなっているところがあるので下を良く見て注意しながら歩かなくてはならない。
バタ子クラゲに刺される。 海中区間を終え、しばらく浜を歩くと「メガネ岩」。穴が開いた岩が海に突き出ているが、穴の中を通れば濡れずに岩の向こう側に抜けられる。 7:30 「ペキンノ鼻」到着。ロープが張ってありここは難しくはないが、その少し先に山側に大きく迂回する区間があり、ここは危険な箇所だ。 迂回途中の崖と崖の間に小さな浜がある。つい降りたくなるが、ここは降りずにそのまま進む。 ルートは崩れやすく高さもあるので慎重に進まなければならない。 「滝川、男滝、女滝」あたりの淡水が流れ込む近くには渡し船で来たらしい大勢の釣り人が居た。 一人ずつ挨拶して通り過ぎるが、全員無視。彼ら釣り人は自分以外は全部敵だとでも思っているのだろうか。
11:00 「念仏岩」到着。その下には大きな洞窟があり中は砂地。テントなしでも快適に泊まることができる。 岬まで2泊3日で往復する計画ならば、初日にここを目指すのだろうが距離的にはかなり厳しいと思う。
念仏岩を越えるには洞窟手前の迂回ルートを登る。ここも事故が多い難所の一つだ。 降り口はかなり急で最初の数メートルはいきなり垂直になっている。 ロープが張ってあるが、岩が脆くて落石は避けられないので1人ずつ降りなくては危険だ。 12:00 ついに最大の難関と言われる「カブト岩」に到着。 番屋の先、道がなくなったところにあるテトラポットのあたりに登り口がある。 尾根沿いに登って、熊笹の中をしばらく歩くと開けたところに出る。 カブト岩の頂上だ。後ろにはさっき来た「ペキンノ鼻」や「念仏岩」が見える。 先を見ると岬の灯台が見える。いよいよ目的地が近いことを実感した。 下りは100m近い高さの崖を登り降りなくてはならない。 前来た時は太いロープが3本ぐらい張ってあったが、今回は細いロープが1本しかなかった。 降りるのはそれほど時間がかからないが、帰りに登ることを考えると気が重くなる。
14:00 「赤岩」に到着。この近くには最後の番屋がある。 帰りに船を使う場合は予約しておいて、ここまで迎えに来てもらうようだ。 帰りの船は3人以上じゃないと頼めないと聞いていたので自分たちは帰りも歩く計画だ。 前回は岬近くまでずっと海岸沿いを歩いたが、今回は途中で丘に登って草原を歩くルートを行くことにした。 適当なところで崖を登ると目の前に草原が広がり、先には灯台が見えた。 疲れていたので灯台散策は明日にしてとりあえず最先端の「アブラコ湾」を目指した。 15:00 ついに「知床岬」到着。前回よりも半日早く出発して、荷物もだいぶ軽かったのに到着時間はほぼ同じ。 前回はいかに必死で歩いたのかがわかる。それだけ気持ちの余裕がなかったということか...
とりあえずテントを張って食事。缶ビールで祝杯をあげた。 アブラコ湾には湧き水があるらしいのだが今回もそれを見つけられなかった。 やはり「赤岩」近くの川で補給してきて正解だった。 突堤の先端からは海に沈む美しい夕日を見ることができた。 体は疲れていたものの、前回ほどではなかったし、気持ちの余裕は全く違った。 今回は2人なので荷物も振り分けられるし、必要な装備、ルートが分かっている。 なにより1人ではないという安心感が大きかった。
2年前は何が必要か良く分からず、平らなところでも真っ直ぐ歩けないほど装備が重くなっていた。 ほとんど人と会うことも無く、岬の近くで初めて人とすれ違った時すごく嬉しかったのを覚えている。
前回は到達の喜びよりも、「また来た道を戻らなければならない」という重圧、恐怖心の方が大きかった。 本当に達成感が感じられたのは相泊まで歩き着いた時。岬では夕日を眺める余裕さえなかった。
9/5(日)晴れ
[知床岬トレッキング3日目]3:00 起床。暗闇の中、朝食を済ませ撤収。
4:00 出発。灯台を目指す。
4:55 知床岬灯台。国後島から昇る御来光。この時点では再び始まる過酷な一日を覚悟していた。
6:00 「赤岩」の近くの番屋を通りがかるとちょうど昆布運搬の船が着いたところだった。
駄目もとで相泊まで乗せてもらえないかと頼んでみたところ、出発が11時ごろで良ければついでに乗せてくれるとのこと。 まさに渡りに船とお願いすることにした。 今日明日の過酷な日程が全部なしになるうえ、うまくすれば霧多布の「岬まつり」にも間に合うかもしれない。
時間まで近くで休憩しているとおじさんが「お土産!」と言って干し昆布を持ってきてくれた。
15:00 霧多布に向けて出発した。
「道の駅 羅臼」の近くにある「純の番屋」に寄り道した。 撮影の時は岬行きの途中で見かけた番屋にそれらしい外装を貼り付けていたそうで、これはそれをもらって復元したレプリカだということだ。 17:00 「霧多布岬キャンプ場」到着。
キャンプ場では「みさき祭り」と前日の根室「カニ祭り」の戦利品での大宴会に混ぜてもらった。 花咲ガニ、チャンチャン焼き、焼きサンマ、刺身等を御馳走になる。